システムキッチンのもう1つの流れ。コンパクト化・・・組み入れる機能を極力減らし、シンプルなシステムキッチンを実現。
前章の松下電工がカラーバリエーションや収納バリエーションを増やし、ユーザーの好みにきめ細かく応えた商品開発を目指すのに対して、選択肢の幅も極力抑えた中でサイズに関してはフルオーダーという商品を提供するものの1つが辰巳工業のシステムキッチンです。
辰巳工業の概要
今回インタビューをさせていただいた社長のお話では、ご先祖は深川に居を構えるブリキ職人。古くは靖国神社など都内の寺院仏閣の銅屋根を葺いていらっしゃったそうです。戦後はステンレスという素材が日本に広まるのに先駆けて、ステンレス加工に業態をシフト。一時はハウスメーカーからの注文に応じた生産がメインでしたが、現在では自ら商品開発を行い、建築家、設計事務所、ディベロッパーなどからも注文が後を絶ちません。 特徴をまとめると次のようになります。
システムキッチンは全てステンレス製です。またキッチンに留まらず、洗面台や照明設備などもステンレス素材で統一して開発しています。
カットや曲げなど所々機械を使いますが、組み立ては手作業。建築家などの細かな注文にもきめ細かく応じられるそうです。
注文が入ってから生産に入ります。生産場所もこの工場だけ行い、注文が多い時はお客様に待っていただくということで、堅実な商いをされている印象を受けました。それだけこだわりの深いお客様がいらっしゃるということが言えるでしょう。
広告などほとんど打たなくても、建築設備専門誌の方で定期的に取材記事として取り上げられているようです。専門家のみ知る設備会社ということになるでしょう。
外部の専任デザイナーと絶え間ない詳細デザインの追求をされているそうです。デザインの付加価値を熟知して商品開発にあたられている姿勢が会話からも垣間見られ印象的でした