日照権(にっしょうけん)
日照を受ける権利で、相隣権のひとつです。都市への人口集中、地価の高騰は建物の高層化を招き、日照を妨害する事例を増加しつつあります。ところが、日照妨害はばい煙、騒音などによる積極的侵害と異なり、いわゆる消極的侵害と解されてきたため、実定法上の保護は十分とはいえません。それに、現在のところは、権利というよりは生活利益として法的保護の対象となっているにすぎません。保護の方法としては、相隣関係法規(境界線付近の建築制限を定めた民法234条など)がまず実定法上の拠点となりうるとともに不法行為法による救済も可能です。その場合には、侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えていることが必要とされます。受忍限度を定める基準としては、被害者が居住する地域の場所的慣行、被害者の感受性、加害行為の態様(建築基準法55条以下の違反など)、加害行為の性質、加害者の害意などがあります。